
世界をリードしているメガテック企業群に代表されるように、コンピューターや情報技術(IT)産業は時代の中心産業です。同時に人材は常に不足しており、アメリカの大学で関連専攻を学ぶことは、日本や米国、さらに世界での仕事のチャンスと、確実な留学費用以上のリターンが見込める選択と言えるでしょう。
コンピューター・IT系専攻の概要
アメリカの大学におけるコンピュータやIT系の専攻は非常に多様であり、学生に幅広いスキルセットを提供します。大学によって詳細は異なるものの、主要な専攻には、コンピュータサイエンス、情報技術(IT)、コンピュータエンジニアリング、および情報システムが含まれます。
コンピュータサイエンス(Computer Science)
この専攻は、プログラム設計、アルゴリズム開発、データ構造、ソフトウェア開発などのコンピュータサイエンスの基本的な原則を学びます。コンピュータサイエンスの専攻は、ソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、セキュリティエキスパートなどのキャリアにつながります。
コンピュータエンジニアリング(Computer Engineering)
この専攻は、ハードウェアとソフトウェアの統合に焦点を当てています。学生はコンピュータの設計、組み立て、および制御に関する知識を獲得し、ハードウェアエンジニアや組み込みシステム開発者としてのキャリアに向けて準備されます。
情報技術(Information Technology)
IT専攻は、コンピュータネットワーキング、データベース管理、システム管理、サイバーセキュリティなど、ビジネスや組織のIT基盤を構築、管理、サポートするスキルを提供します。ITプロフェッショナルとしてのキャリアに適しています。
情報システム(Information Systems)
情報システム専攻は、ビジネスとテクノロジーの融合に焦点を当てています。学生は経営情報システム、プロジェクト管理、ビジネスプロセス分析など、情報技術を組織の戦略的な要素として活用する方法を学びます。
これらの専攻は、学生に高度な技術スキル、問題解決能力、コミュニケーション能力を養い、多くの業界で求められるプロフェッショナルとしてのキャリアを築くための基盤を提供します。アメリカの大学では、学生は自分の興味とキャリア目標に合わせてこれらの専攻から選択し、幅広いキャリアパスを追求することができます。

大きく分けると、コンピューターサイエンスがソフト系、エンジニアリングはハード系です。情報技術は実際のシステムの構築や管理、情報システムはよりビジネス寄りで、情報システムをビジネスの成功のために活用する技術が身につきます。
主な専門科目
- コンピューターサイエンス:プログラム設計、データ構造とアルゴリズム、コンピュータアーキテクチャ、ソフトウェアエンジニアリング、データベース管理、人工知能と機械学習、ウェブ開発、セキュリティと暗号学、分散システム、コンピュータグラフィックスなど
- コンピューターエンジニアリング:デジタル回路設計、マイクロプロセッサ設計、ソフトウェアハードウェアインターフェース、組み込みシステム設計、FPGAプログラミング、ロボティクス工学、ネットワークプロトコル設計、センサーテクノロジー、パワーエレクトロニクス、VLSI設計など
- 情報技術:ネットワーキングとセキュリティ、データベース設計と管理、システム管理、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティ、ITプロジェクト管理、デジタルフォレンジクス(データ解析)、インフラストラクチャ管理、ビッグデータ分析、モバイルアプリケーション開発など
- 情報システム学:経営情報システム、データベース管理とビジネスインテリジェンス、プロジェクト管理、システム分析と設計、情報セキュリティ管理、eコマース戦略、ビジネスプロセス再設計、IT戦略とリーダーシップ、ビッグデータ戦略、クラウドコンピューティング戦略など
※上記には、修士課程以上で学ぶ応用的な範囲の内容も含まれています。大学によりカリキュラムは異なります。
コンピューターサイエンスの学習の流れ
アメリカの大学におけるコンピューターサイエンスの学士課程は、通常4年間のプログラムで構成されています。この学習の過程は以下のような流れを持っています。
最初の年次では、学生はプログラミングの基本としてPythonやJavaなどの言語を学び、データ構造とアルゴリズムの基礎を築きます。2年次に進むと、ソフトウェア工学、データベース管理、コンピュータアーキテクチャなどの中級科目に取り組み、より高度なスキルを習得します。
3年次に入ると、オペレーティングシステム、ネットワーキング、ソフトウェア開発プロジェクトなど、さまざまな分野の上級科目が用意されています。4年次には、専門分野を選択し、セキュリティ、人工知能、データサイエンス、ウェブ開発などの特定の分野に焦点を当てたコースを受講します。また、キャップストーン(卒業)プロジェクトを通じて、大規模なプロジェクトに取り組むことで、実践的なスキルを磨きます。
学生はまた、無給/有給インターンシップを通じて実務経験を積む機会を追求することもできます。研究志向の学生は、修了論文を書く機会を持つことで、学問的な深化を追求することができます。
この学士課程は、学生に幅広いコンピューターサイエンスの知識とスキルを提供し、卒業後にソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、セキュリティエキスパートなど、さまざまなコンピューターサイエンス関連の職業に進むための準備を行います。

基本的なプログラミングの技術を4年間通して一連の授業で学ぶ流れと、希望の職種に応じて周辺技術を学ぶ部分、そして教養科目を通じて社会人としての基本スキルや人間性を広げるための科目を学んでいきます。中にはゲームプログラミングなんて授業もありますよ!
コンピューター・IT関連専攻の卒業生の進路
卒業生の進路はテック系企業やITコンサルティング企業(一般企業にIT導入の支援をする企業)はもちろんのこと、銀行、商社などをはじめ、あらゆる業種で必要とされている人材だけに、きちんと技術を習得して卒業に至ることができるならば、就職に困ることは無いと断言できます。
STEM系専攻はアメリカで就職できるチャンスも大
アメリカの留学生にとって、OPT(Optional Practical Training)とSTEM OPT Extension(STEM専攻者のOPT延長)は重要な雇用機会を提供するプログラムです。OPTは、卒業後に専門職の実務経験を積むためのプログラムで、通常は最大12か月の期間の米国での研修的な就労が許可されます。
一方、STEM OPT Extensionは、STEM分野(科学、技術、工学、数学)の学位取得者向けの特別な延長プログラムで、最大24か月の追加OPT期間を提供し、合計で最大36か月のOPTを可能にします。これらのプログラムを利用することで、留学生は卒業後に専門職の実務経験を積み、アメリカでのキャリアを築く機会を得ることができます。この間に、より実戦的な技術を身につけるともに、アメリカでの就職の機会を探すことができます。
コンピューター・IT系卒業生の主な就職先
マイクロソフト、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、日本オラクル、日本NCR、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズ、野村総合研究所、東京エレクトロン、パナソニック、NEC(日本電気)、富士通、日立製作所、三菱重工業、三菱電機、京セラ、プライスウォーターハウスクーパース、KPMG、アビームコンサルティング、アクセンチュア、NTTドコモ、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、三菱UFJ銀行 ほか多数
進学説明会のご案内

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アメリカの大学の利点
コンピューター・IT産業の中心地アメリカ
アメリカはテクノロジー産業が最も発展している国の一つであり、シリコンバレーをはじめとするテクノロジーハブがあります。アメリカの大学はこれらの産業との協力関係を持ち、学生に実務経験やキャリア機会を提供しています。コンピューターサイエンスの分野でも、アメリカの大学はトップクラスのプログラムを提供しており、その質が高いとされています。
学生は最新のテクノロジーやトレンドに触れる機会を得ることができ、卒業生は研究の分野でリーダーシップを発揮できる可能性が高いです。

一応メリットを並べましたが、この分野ならアメリカが一番というのは説明の必要もありませんよね!特に学生の皆さんにとっては、技術だけではなくグローバルな環境で学べることは卒業後のキャリアを考えれば最大の武器になることでしょう。
「英語のできるエンジニア」の価値
アメリカの大学には世界中からの留学生が集まり、多様な文化と視点が交差する国際的な環境が提供されます。これは国際的なネットワークを構築し、国際的な視野を広げる絶好の機会です。
日本では、残念ながらそもそも理系学生が少ないこと、さらに「理系で英語が得意」という学生はもっと少なくなります。ですから、そもそも英語がきちんと使えるエンジニアというだけでもその価値は非常に高いと言えます。
さらにアメリカの大学で学んだ学生は、実際のプロジェクトに参加し、プレゼンテーションや議論を行い、エンジニアとして必要なコミュニケーションをアメリカ人や他国の留学生との学生生活の中で身につけているグローバル人材であり、日本の学生を大きく引き離しています。

コンピューター・IT関連専攻
上記以外の関連専攻を挙げてみましょう。

機械工学・ロボティクス
ロボティクスは、コンピューター科学/工学分野と機械工学の接点であり、工業製品としてのロボットのみならず、機械学習やAIも研究領域となる。

サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティもまた、安全にシステムを稼働させる上で欠かせない技術かつ、技術者が圧倒的に不足している分野で、将来性が非常に高い。

ビジネス学
ITはビジネスと共に発展してきた。技術だけではなく、金融や会計、経営学などと共に学ぶことで、より自身に付加価値をつけることができるだろう。

人工知能(AI)
基本的にはコンピューターサイエンスの応用であり延長線上だが、専攻としてのAIも徐々に整備されつつある。高度な数学、脳科学なども学ぶことに。

バイオインフォマティクス
生体情報学は、健康関連の情報やDNA等の固有情報をITを利用して有効活用することを目的とする。健康管理からセキュリティまで応用範囲は広い。

データサイエンス
データサイエンスは、大量のデータを収集・分析し意思決定に役立てる情報技術と統計学の統合分野だ。経営以外にもスポーツ等でも活用されている。
》関連記事:AIについて考える 第1回:AIはアメリカ留学の夢を見るか?
》関連記事:AIについて考える 第2回:アメリカの大学でAIを学ぶには?
コンピューター・IT分野の推奨大学
基本的に最も今盛んな分野だけに、コンピューター関連分野はほぼ全大学に設置されています。その中でも特筆すべき大学をいくつか挙げましょう。
ネブラスカ大学オマハ校/
University of Nebraska Omaha
金融の聖地・オマハでITが強い理由
ネブラスカ州オマハがIT教育に重点を置いている背景のひとつには、世界一の投資企業・バークシャー・ハサウェイ社(Berkshire Hathaway Inc.)とその最高経営責任者(CEO)であり「投資の神様」「オマハの賢人」の二つ名で知られる世界的な投資家、ウォーレン・バフェット氏(Warren Buffett)の影響が大きな要因のひとつとなっています。この地域において、バークシャー・ハサウェイ社は長い間、投資と事業展開を通じて多くのテクノロジー関連企業に投資し、テクノロジー業界の発展に貢献してきました。バフェット氏自身もこの大学の卒業生であり、テクノロジー企業への投資を積極的に行い、その業界に対する深い洞察を持っています。そのため、彼の存在は地元のIT教育と産業に大きな影響を与えています。
実際、ネブラスカ大学オマハ校(UNO)には数多くのコンピューターサイエンスやIT系、経営情報学系の専攻が設置され、その充実度は全米でも有数の規模を誇ります。

実は非常に強い経済力を持っているネブラスカ州。UNOはNCN特別奨学金の対象大学であり、高い経済性と充実した内容を高い次元で両立しているお勧め大学です!



アーカンソー州立大学/
Arkansas State University
バランスの良いカリキュラムと奨学金
州2番手クラスの全米級州立総合大学。NCN特別奨学金実施大学で、当然IT系にも非常に力を入れており、コンピューターサイエンスやエンジニアリングはもちろん、データ分析/ビジネス分析などデータサイエンス系の専攻が多数設置されている。

アーカンソー州立大学はとても専攻が細分化されていて、これだ!とぴったりはまる専攻が見つけやすい大学です。




カリフォルニア州立大学ロングビーチ校/
California State University, Long Beach
学生3万人以上の大規模大学
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校は、"The Beach"の愛称で知られ、カリフォルニア州立大グループの中でも上位の研究型大学だ。カリフォルニア=シリコンバレーのイメージが強いが、実は航空宇宙産業や環境科学なども強力で、工学やロボティクスなどを学びたい学生にもぜひお勧めしたい。ただ、やはりカリフォルニア州の他大学の例に漏れず入学基準は厳格で、アメリカ人も含めた受験者に対する合格率は40%台と高い学力とGPAが求められる。

サステナビリティや差別問題への取り組みも先進的な大学です。成績に自信のある学生はぜひチャレンジしてみましょう。他大学の合格をキープしつつの併願もできますのでご相談ください。

コンピューター・IT
専門の説明会を開催
分野別進学説明会・コンピューター・IT編
東京・大阪・オンラインで実施
この説明会では、コンピューター・IT系の専攻に特化して、アメリカの大学への進学・留学について詳細にご紹介します。世界一の環境、学びの流れ、キャリアプラン、気になる費用など、技術者や開発者、あるいはITビジネスの世界をめざすあなたが欲しい情報をすべてお伝えします。また、個別相談のお時間も設けています。
詳しくは特設ページをご参照ください。

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それぞれの分野については、通常の進学説明会でもご相談に対応するほか、「専攻分野別進学説明会」として各分野に特化した説明会を開催しています(全学年共通)詳しくは以下の各専攻解説ページをご覧ください。
※時期によっては直近の開催が設定されていない場合もございます。この場合は、高校生向け総合進学説明会/大学生・社会人向け進学説明会にご参加ください。
【航空学】パイロットになって大空を飛びたい
アメリカでは大学の中にパイロットの養成プログラムが専攻として設置されており、大学卒業とともに事業用操縦士のライセンスを取得できます。子供の頃からの空への憧れを、現実の進路に変えましょう。
【国際関係】世界の平和と幸せに貢献したい
止むことのない戦争や貧困、飢餓、災害。世界を襲う様々な危機に、自分が何ができるかを考え、必要な力をつけるためにアメリカで学べることはたくさんあります。
【映画・映像】映像・CGなどを本格的に学びたい
エンターテイメントの層の分厚さは、昔も今もアメリカは世界一です。米国大では本格的な映画から配信動画、ニュース、CG、VR/ARなど最新技術まで何でも学ぶことができます。
【スポーツ】スポーツの世界を支える仕事に就きたい
部活などでせっかく大好きになったスポーツに一生関わっていきたいという学生には、アメリカのスケールの大きな環境と細分化された専攻は最適な選択です。トレーナー、スポーツビジネス、報道など各種専攻を解説します。
【航空宇宙工学】飛行機やロケット、宇宙船の開発をしたい
航空宇宙工学は、航空機や宇宙関係、その他乗り物全般を含めて研究開発をするエンジニアを育成するための専攻です。アメリカ、日本、そして世界に通じる技術を身につけましょう。
【コンピューター・IT】現在と未来の中心産業で活躍したい
GAFAMに代表されるビッグテック企業が世界を牛耳る今、大学においてもこの分野は最も拡大に力が入っている専攻群です。科学からITビジネス、保守やセキュリティなど基盤を守る技術まで、自分に合うポジションを探しましょう。
【ビジネス】世界の最前線でビジネスを学びたい
世界のビジネスの中心、アメリカで学びたいという学生はとても多いはずです。ビジネス一般から金融、会計、起業など専攻分野としては多岐にわたります。ここでは、主なビジネス系専攻を紹介していきましょう。
【舞台芸術】ミュージカル・音楽・ダンスも専攻で選べる
ブロードウェイや世界で活躍したいというプレイヤー系、脚本、舞台装置や衣装、音楽ビジネスなどスタッフ系、どちらもプロの門を叩けるだけの本格的な内容をアメリカの総合大学で学べます。
【環境学】地球環境を守るために貢献したい
地球温暖化・資源問題など環境に関わる専攻はアメリカの大学に多数あります。また、理系的アプローチばかりではなく政治経済や国際関係からも貢献することはできるでしょう。
【医学・医療系】アメリカで最先端の医学を学ぶ
国際的な医師を目指したい、それもできればアメリカで先端医療を学びたいという高い希望を持っている学生の皆さんに向けて医学と、その他の医療系専攻について触れていきます。
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