学生の皆さんにとっては、社会に出て本格的に活躍するようになるのは数年後〜10年後くらいでしょう。ですから、当然今の興味も大事にする一方、一歩二歩と先を見据えた専攻選びも重要となります。このシリーズでは、日本ではまだ十分に注目されていない一方、アメリカでは各大学が強化している専攻分野を取り上げていきます。
第1弾として取り上げるのはビジネス学系の専攻のひとつ、サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management=SCM)です。新型コロナウイルスのパンデミックや国際紛争を受け、SCMは今後ますます重要性を増す分野です。特に、アメリカの大学ではSCMの専門的なプログラムが多く設置されており、国際的なビジネスの現場で活躍するための知識とスキルを身につけることができます。
本記事では、SCMがなぜこれからのキャリアにとって重要なのか、アメリカの大学で学ぶメリット、そして日本での学びとの違いを整理し、グローバルな視点を持つための留学の重要性について詳しく解説します。
サプライチェーンマネジメントの役割とその重要性
サプライチェーンマネジメントとは?
• 製品やサービスの流れを最適化する管理手法
原材料の調達から、製造、物流、在庫管理、そして最終消費者に届くまでのプロセス全体を管理し、効率化することを目指します。
• コスト削減と効率性向上を図る戦略
物流や在庫の最適化、調達の工夫により、企業のコストを削減しながら、顧客への迅速かつ安定したサービス提供を実現します。
• リスク管理と持続可能性の確保
予測できないリスク(パンデミック、自然災害、国際紛争など)に備え、サプライチェーンを強固にし、持続可能な運営を目指します。
サプライチェーンマネジメント(SCM)は、商品やサービスが作られてから消費者に届くまでの流れを管理し、効率よくするための方法です。この流れには、原材料の調達、製品の製造、倉庫での在庫管理、商品を届ける輸送、そして購入後のサポートまでが含まれます。企業がこれを上手に行うことで、無駄を減らし、より良いサービスを提供できます。
最近では、パンデミックや国際的な問題が原因で物が届かなくなるなどのトラブルが増えたことで、この仕組みの重要性が改めて注目されています。たとえば、突然必要なものが届かなくなった場合でも、別の方法を使って乗り切る工夫が求められています。
また、デジタル技術の進化によって、この仕組みがさらに便利になっています。コンピューターを使ってデータを分析したり、人工知能を活用したりすることで、問題を予測して早めに対応することが可能になりました。
SCMは、ただ物を動かすだけの方法ではなく、私たちの生活に必要なものを安定して届けるための大切な仕組みです。社会や経済がスムーズに動くために、見えないところで活躍しています。
アメリカの大学で学ぶSCMのメリット
アメリカの大学では、サプライチェーンマネジメントに特化したプログラムが数多く提供されており、学生は広範な知識と実践的なスキルを習得することができます。特に以下の点で、アメリカのSCMプログラムには大きな魅力があります。
幅広いカリキュラムと最新技術
アメリカの大学のSCM専攻では、物流管理、在庫最適化、調達戦略、リスク管理といった基本的なスキルに加えて、ビッグデータやAIを活用したデジタルサプライチェーンの管理手法も学びます。これにより、効率的なサプライチェーン運営と、将来のリスクに対処するための能力が養われます。デジタル技術を使ってサプライチェーンの可視性を高め、リアルタイムでの意思決定を行うスキルは、企業の競争力を高めるための鍵となります。
実践的な経験を積む機会
アメリカの大学では、インターンシップや企業との提携プロジェクトを通じて、実際のビジネス環境での実践的な経験を積む機会が豊富に提供されています。学生は、現実のビジネス課題に取り組みながら、理論を実践に結びつけるスキルを身につけることができ、卒業後すぐに即戦力として活躍できるようになります。企業との提携を活かしたプロジェクトでは、グローバルな視点を養い、国際的なビジネスの現場で役立つスキルを取得することができます。特にアメリカの大規模なビジネスの現場を経験できることは、将来への大きなプラスになるでしょう。
日本の大学との違い-専門性と実践的学びの差
日本の大学では、サプライチェーンマネジメントに特化したプログラムがまだ限られています。ビジネス全般の中でSCMに触れる機会はあるものの、アメリカの大学ほど深く専門的に学べる環境は整っていません。また、実践的な学びやインターンシップの機会も少なく、グローバルな視点を持って学べる場が限られているのが現状です*。
特に、サプライチェーンのグローバル化が進む中で、国際的な視点や異文化でのビジネス経験が非常に重要です。アメリカの大学での学びは、こうした視点を養うための最適な場と言えるでしょう。
*参考文献)国土交通政策研究「物流分野における高度人材の育成・確保に関する調査研究」2021年1月 国土交通省 国土交通政策研究所
SCMの専門家が不足している現状とそのチャンス
現在、ITや起業に注目が集まっている一方で、SCMの専門家は依然として不足しています。特に、新型コロナウイルスのパンデミック以降、一部の大企業のみならず、世界中の多くの企業がサプライチェーンの強化を急務としているにもかかわらず、SCMの専門知識を持った人材が足りていないのが現状です。
サプライチェーンの脆弱化はかつてのグローバル化の弊害でもあります。グローバルに資材を調達、生産し、消費者に届けられていたのは世の中がある程度安定していたからこそ成り立っていた仕組みだということに、ここ5年くらいの激動とも言える時代の変化に今更ながら気付かされた企業は少なくありません。
この状況は、学生にとって大きなチャンスです。企業は今、サプライチェーンに対する知識を持った専門家を求めており、アメリカでSCMを学んだ人材は、これからのビジネスシーンで欠かせない存在となるでしょう。
学生だけではなく、実務経験を積んできた社会人の皆さんにももちろん大きなチャンスがあります。編入しての学位取得、さらに英語力など諸条件が揃うのであれば、大学院進学も大きなキャリアのプラスになるでしょう。
グローバルな視点を持つための留学の重要性
アメリカでSCMを学ぶことで得られる最大のメリットの一つは、グローバルな視点とネットワーキングの機会です。アメリカの大学では、多国籍の学生と一緒に学ぶことができ、異なる文化やビジネス環境に適応する能力を養うことができます。また、教授陣も業界での実績を持つ専門家が多く、リアルなビジネスの最前線の知識を直接学べる環境が整っています。もちろん、英語力がビジネスの実践レベルまで上がるのは言うまでもありません。
また、留学は単に学位を取得するだけでなく、将来のキャリアに役立つ人脈作りの場でもあります。アメリカで築いたネットワークは、卒業後のキャリアにおいて大きな財産となるでしょう。
世界のビジネス環境がますます変化する中で、SCMの専門家として活躍するために、ぜひアメリカでの留学を検討してみてください。
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Supply Chain Management 推奨大学
アーカンソー大学/
University of Arkansas
北米No.1のSupply Chain Management専攻を持つ
アーカンソー大学のサム・M・ウォルトン経営学部のサプライチェーン管理学部は、世界有数の調査会社ガートナー社によって2020年に北米第1位にランクされました。このランキングは、業界価値、プログラムの範囲、プログラム規模の3つの特定の領域における卓越性を反映しています。また、US Newsランキングでも2024年に第9位にランクされています。
アーカンソー大学は世界一の流通企業(一般的にはスーパーマーケットチェーン)・Walmart社のお膝元にあり、大学の経営学部の冠になっているサム・M・ウォルトン氏はWalmart会長であり、同大学の卒業生でもあります。また、同社ともパートナーシップを結ぶ大手物流企業のJ.B.Hunt社、食料品大手のTyson社も大学への強力なバックアップ体制を敷いています。
アーカンソー大学はNCN特別奨学金支給額も全受入大学ナンバーワン!州トップの大学で世界レベルのSCMを学びましょう。
アーカンソー大学・SCM専攻の主な講義
学部課程
• Introduction to Supply Chain Management /サプライチェーンマネジメント入門
サプライチェーンの基本概念とその重要性を学ぶ入門コースです。
• Advanced Logistics Management / 上級ロジスティクスマネジメント
物流管理の高度な戦略と実践を探求します。
• Business Analytics and Visualization / ビジネス分析と可視化
データ分析手法とその視覚的表現を学びます。
• Supply Management / 調達管理
効果的な調達戦略とサプライヤー関係の管理に焦点を当てます。
• International Transportation and Logistics / 国際輸送とロジスティクス
グローバルな輸送ネットワークと物流戦略を検討します。
• Supply Chain Management Internship / サプライチェーンマネジメント・インターンシップ
実務経験を通じて理論を実践に結びつけます。
• Supply Chain Strategy / サプライチェーン戦略
サプライチェーン全体の戦略的計画と最適化を学びます。
• Cross-Functional Teams in Supply Chain Management / SCMにおけるクロスファンクショナルチーム
部門横断的なチームワークと協働の重要性を探ります。
• Supply Chain Performance Management / サプライチェーンパフォーマンス管理
パフォーマンス指標の設定と評価方法を学びます。
• Supply Chain Management Colloquium / サプライチェーンマネジメント・コロキウム
最新の業界トピックや研究成果を討議する上級セミナーです。
修士課程(大学院)
• Sustainable Logistics and Supply Chain Management / 持続可能なロジスティクスとサプライチェーンマネジメント
サプライチェーン全体での持続可能性の概念を探求し、価値観に基づくリーダーシップやリバースロジスティクスなどを学びます。
• Quantitative Methods and Decision Making / 定量的手法と意思決定
意思決定と問題解決のための情報活用、定量的手法、およびコンピュータ応用を学びます。
• Supply Chain Risk, Disruption, and Resilience / サプライチェーンのリスク、混乱、回復
ビジネス継続性とリスク管理を包括的に探求し、組織のレジリエンス(回復への対応能力)を高める戦略を学びます。
• Technology-enabled Supply Chain Design and Optimization / テクノロジー活用によるサプライチェーン設計と最適化
サプライチェーンネットワークの設計と、ビジネス条件の変化に対応した戦略的管理を学びます。
• Foundations for New Product Launch and Integrated Demand-Driven Value Networks / 新製品発売の基礎と統合需要主導型バリューネットワーク
サプライチェーンの主要ビジネスプロセスを統合し、製品やサービスの効果的な開発と提供を学びます。
• PLAN: Demand Planning and Inventory Operations / 需要計画と在庫運営
需要予測と補充を含む統合的なサプライチェーン活動の計画と管理を学びます。
• SOURCE: Global Procurement and Supply Management / グローバル調達と供給管理
戦略的調達、サプライヤー関係管理など、グローバルサプライチェーンにおける調達と供給の核心プロセスを学びます。
• Supply Chain Performance Management and Analytics / サプライチェーンパフォーマンス管理と分析
データを実用的なビジネスインテリジェンスに変換する分析手法を学び、サプライチェーン管理プロセスの改善を探求します。
• MAKE: Achieving Operational Excellence / 運営上の卓越性の達成
サプライチェーンにおける運営プロセスの最適化と効率化を目指します。
• DELIVER: Customer Service and Distribution Management / 顧客サービスと流通管理
顧客サービスの向上と効果的な流通戦略を学びます。
Supply Chain Management専攻設置大学
NCN特別奨学金対象大学
- アーカンソー大学
- アーカンソー州立大学
- セントラルアーカンソー大学
- ネブラスカ大学オマハ校
- ネブラスカ大学カーニー校
- ミズーリサザン州立大学
その他の受入大学
- オクラホマ州立大学
- テキサス大学アーリントン校
- ノーステキサス大学
- カリフォルニア州立大学ロングビーチ校
- カリフォルニア州立大学ノースリッジ校
- カリフォルニア州立大学サンバーナディーノ校 など
上記は専攻(major)あるいはマネジメント学専攻の中で専修課程(emphasis)が設置されている大学です。これ以外の大学でも、多くの大学でビジネス学/マネジメント学の一環として学ぶことができます。
まとめ:SCMを学ぶ留学の価値
サプライチェーンマネジメントは、これからのグローバルビジネスにおいて必要不可欠なスキルを学べる分野です。特に、アメリカの大学では、最新のデジタル技術や実践的な経験を通じて、SCMに特化した深い知識を得ることができます。日本国内ではまだ学ぶ機会が限られているSCMですが、アメリカでの留学を通じてグローバルな視点を持ち、国際的なキャリアを築くための重要なステップを踏むことができるでしょう。
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